Part 1[]
『
Oda Sakunosuke ここか
その宝石店に入ると、私の
ショウケースは残らず割られ、中の宝石 どころか、飾りの
Oda Sakunosuke
犯人を見つけだせと
そこはただの宝石店ではなかった。
今日の夜までは。
Oda Sakunosuke
さて……誰が一体どうやって、 あの
謎の声 そこにいるのは誰だい?
青年
おや。遅れて来た
Oda Sakunosuke 誰だ?何故ここにいる?
青年
のんびり屋の割に
Oda Sakunosuke 警察の人間か……
Oda Sakunosuke
俺はある組織の
青年
仕事は終わった。好きに調べればいい。 こちらも
Oda Sakunosuke 死体……?
青年 ああ。 ……見ても吐くなよ
Oda Sakunosuke これは……
Oda Sakunosuke 何だこれは? どうやればこんな殺しができる?
Oda Sakunosuke
壁際で死んでいるのは、
Oda Sakunosuke
廊下でちぎれているのは、
Oda Sakunosuke
そして天井に引っかかっているのは、 GSSの
Oda Sakunosuke 他にも知った顔がいくつも…… 全員、強力な戦闘系異能の持ち主だ
Oda Sakunosuke
おそらく彼らは宝石を守る
Oda Sakunosuke だが一体誰が、 これほど強力な異能者達を……
青年 そんなに驚くほどのことでもなかろう
Oda Sakunosuke 何故だ?
青年
今は
青年 異能者の死体なんて、 異能者そのものよりありふれていると思うが
Oda Sakunosuke あんた、ヨコハマは初めてか?
青年 ああ。何故?
Oda Sakunosuke この街を知っていれば、 この殺しが『ありえない』と判るからだ
Oda Sakunosuke
彼らGSSは、今回の抗争には 絶対
Oda Sakunosuke
彼らの金庫を襲う奴は、
青年 では、これは間抜けの犯行ということだね。 ……ふふ、面白い
Oda Sakunosuke そうか…。 これは『奴』が殺したのか
青年 『奴』?
Oda Sakunosuke 数日前に突然現れた、一人の異能者の噂だ
Oda Sakunosuke
そいつは抗争をしている『すべての組織』を 攻撃するそうだ。
青年
確か『
青年 目撃者が生きていないなら、 誰がどうやって名をつけたのだろうな?
Oda Sakunosuke どんな奴なんだ。 やはり首が長いのだろうか
青年 うむ。……うむ?
青年 いや、そのキリンとは違うと思うが……
Oda Sakunosuke そうか。間違えた
青年
宝石強盗犯がその『白麒麟』だとすれば、
Oda Sakunosuke 俺はもう少し調べる。白麒麟の正体は ともかく、その目的くらいは知りたい
青年
……ああ、そうだ。
青年 退屈だったから、だよ。 美しい宝石を見れば、心が動くかと 思ったんだ
Oda Sakunosuke ……
青年 気が変わった。 君とはまた会いたくなったよ
青年 生きていれば、また会おう
Dazai Osamu 織田作。無事か?
Oda Sakunosuke 太宰か。 ……こんなところで何をしてる?
Dazai Osamu
Oda Sakunosuke ああ。少し話した
Dazai Osamu よく生きていられたね、織田作。 ……その男が『白麒麟』だ
Dazai Osamu この抗争そのものを乗っ取ろうとしている 悪魔だよ
Oda Sakunosuke ……
Oda Sakunosuke ……やはりそうか
Part 2[]
『龍頭抗争』開幕から70日目──
謎の声 太宰!何処だ太宰!
Nakahara Chuuya おい太宰、いやがるんだろ? 出てこい!
Dazai Osamu ふあぁ……うるさいなあ
Nakahara Chuuya
ここにいたか、太宰。
Dazai Osamu やァ中也か。おはよう。今日も君という 人間に大変適したサイズをしているねえ。 実に結構
Dazai Osamu
私に何か話かい?
Nakahara Chuuya
Dazai Osamu
そんなに耳元で
Dazai Osamu
Dazai Osamu
『
Dazai Osamu
その他の組織も、
Dazai Osamu
武器商人の『
Dazai Osamu
Dazai Osamu ま、心配いらないよ。 ……全員死ねば自動的に終わる
Nakahara Chuuya
本気で
Nakahara Chuuya お前と違って、この街の誰も死にたくは ねえんだよ。寝てる暇があったら、 抗争を終わらせに外に行きやがれ
Dazai Osamu
ははは。そう
Dazai Osamu
抗争自体への対策は森さんに任せておけば 問題ない。私達が
Nakahara Chuuya ? 何だ、この写真?
Nakahara Chuuya 死体か……誰の死体だ?
Dazai Osamu
ポートマフィア現幹部、通称『
Nakahara Chuuya
な……!あの
Nakahara Chuuya
地面を
Dazai Osamu 『白麒麟』だ
Dazai Osamu 奴の異能は未だに不明だが……おそらく 『白麒麟』は、異能者を殺せば殺すほど 強くなる
Nakahara Chuuya 何だと?
Nakahara Chuuya
なら……『白麒麟』にとって この抗争は、
Nakahara Chuuya どうすんだ、そんな奴
Dazai Osamu やだなあ中也。感想が違うよ。 幹部候補の我々にとってはね
Dazai Osamu 『これで幹部の席がひとつ空いた』…… だろ?
Dazai Osamu
……いきなり殴るなんて
Nakahara Chuuya 殺されなかっただけ感謝しろ
Dazai Osamu 全く……痛いなあ。私だって人間なのだよ?
Nakahara Chuuya
誰も信じねえよ。 ……『白麒麟』の野郎は俺が何とかする。
Dazai Osamu ふふ……酷いなあ……
Part 3[]
晴れない雨はない。
……普通の人間は、そう思っている。
『龍頭抗争』の開幕から、72日目。
『白麒麟』は、昼の
抗争により破壊された
白麒麟
まだこんなに人がいるのか。 ……もう
彼は
そして、一台の
白麒麟
お
少女 え、あ……はい、えっと、 ありがとうございます
少女
ご
白麒麟
そうだ。……これから会う人間は、 上等な
少女 お優しいんですね
少女 それでは特別に、 これは当店からのサァビス品です
白麒麟 !
少女は、隠し持っていた拳銃を白麒麟に つきつけた。
少女だけではない。往来を歩いていた 人々が、全員いっせいに白麒麟へと銃を 向ける。
謎の声 楽しんで頂けたかな、『白麒麟』さん?
白麒麟 君は……
Dazai Osamu
ちょっとした
白麒麟
この
Dazai Osamu
寝てばかりだと、 相棒に
白麒麟 もし断ったら?
Dazai Osamu
別にどうも。 ……君も死に場所くらいは選びたかろう という私の
白麒麟 ふむ。それは悪いな
Dazai Osamu
君はふたつ
Dazai Osamu
Dazai Osamu
もうひとつは、組織を
Dazai Osamu
人間は個人より集団のほうが強い。 この世の絶対
白麒麟 集団のほうが強い……か。 それが君が組織に所属する理由か?
Dazai Osamu そうだ
白麒麟
それは
Dazai Osamu ……
白麒麟
確かに組織は重要だ。 一本の糸だけでは布は
白麒麟
だがね、白い
白麒麟 それもこの世の真理だ
Dazai Osamu
私の心配をしてくれる訳だね? お
Dazai Osamu 君は『大佐』を殺した。 幾らなんでもやりすぎだ
Dazai Osamu あの人の死を黙って見過ごせるほど、 私は優しくはない
白麒麟 いいだろう
Part 4[]
Dazai Osamu 君は『大佐』を殺した。 幾らなんでもやりすぎだ。
Dazai Osamu あの人の死を黙って見過ごせるほど、 私は優しくはない
白麒麟
いいだろう。だが
Dazai Osamu 後悔?私が?
白麒麟
君達が、だ。 この私を失えば、この抗争を 終わらせる機会は
Dazai Osamu
はは。
白麒麟 この抗争は、これ以上死体が 生産できなくなる限界まで続くだろう。 止める方法はひとつ
白麒麟 ……さらなる抗争だ
Dazai Osamu 何?
白麒麟
白麒麟 巨大な爆弾で、炎を吹き飛ばすのだよ
Dazai Osamu
爆発音……?
白麒麟
今日をもって抗争は
白麒麟
私はつい先程、抗争に参加するすべての
Dazai Osamu あれは……
Dazai Osamu マフィアビルが…… 大きくなってきている……?
白麒麟
Dazai Osamu いや、あれは……! まさか、こちらに倒れてきている……!?
白麒麟
君の
白麒麟 ひとつは、この待ち伏せ自体を 読まれていたこと。 そして
白麒麟
私が組織を持たない
通行人 ぐわあああ!
通行人 きゃああああ!
Dazai Osamu な……!異能攻撃!?何処からだ!?
広場を
白麒麟
君は正しい。確かに組織の力は
白麒麟
だから私も組織を#[編:あ}んでみたんだよ。 退屈を
巨大な影が広場を
Dazai Osamu は、はは……『白麒麟』、これ程とは
白麒麟
その呼び名にも、少し
Shibusawa Tatsuhiko
私の名は
Shibusawa Tatsuhiko
最後の花火だ。 退屈な私を
Dazai Osamu ははは……これはいいね。面白い。 そうか、君も……
Dazai Osamu ならば、最大限の努力を約束しよう
ビルが広場に激突する。
その日、抗争に参加していたすべての 組織は、
そして彼等は、
翌日、倒壊したビルの瓦礫を救助班が
Part 5[]
『龍頭抗争』開幕から87日目──
Shibusawa Tatsuhiko ……
謎の声 不機嫌そうですね
Shibusawa Tatsuhiko ……君か
Fyodor D. もはや貴方に敵はない。欲しいものは すべて手に入れた。何を不満がるのです?
Shibusawa Tatsuhiko 欲しいもの? この部屋に飾ってあるものがか?
澁澤は室内を見回す。
そこには抗争で敵から奪った宝石、
Shibusawa Tatsuhiko
この抗争で得た
Fyodor D.
当然でしょう。
Shibusawa Tatsuhiko 戦闘や、宝石でさえも?
Fyodor D.
ええ。 古い
Shibusawa Tatsuhiko ああ……そうだな。 早く気付くべきだった
Shibusawa Tatsuhiko
敵はほとんど
Shibusawa Tatsuhiko 全く……
Shibusawa Tatsuhiko
ブリキの
Shibusawa Tatsuhiko
何故こんなモノで遊んでいたのだろう。 こんな
Shibusawa Tatsuhiko
昨日の自分は、こんな玩具に何の期待を? 子供は絶望的な気分になり、
Shibusawa Tatsuhiko そういう時の子供のような気分だよ
Fyodor D. 貴方がそうあるということは、 神が世界をそう作ったということです
Shibusawa Tatsuhiko
なら私にどうしろと
Fyodor D. いいえ? もっと単純な解決法ですよ
Fyodor D. 玩具を壊し、次に進むのです
Shibusawa Tatsuhiko ……
Shibusawa Tatsuhiko ああ……そうだな。そうしよう
Mori Ougai
Nakahara Chuuya ……
Hirotsu Ryuurou ……
Mori Ougai
通常の抗争なら、敵は多数の組織だ。 その行動は危険だが
Mori Ougai だが『白麒麟』は違う。何もかもが謎だ。 異能も、目的も、その居場所さえも
Mori Ougai
Mori Ougai
マフィアを除く四大組織はほぼ壊滅。 我々にしても、幹部から
Mori Ougai 太宰君もその一人だ
Nakahara Chuuya 太宰のポンツクはともかく、 他の仲間は助けなくては
Mori Ougai 生きていれば、ね……
Mori Ougai 広津さん。敵について、新たな情報は?
Hirotsu Ryuurou
はい。……
Hirotsu Ryuurou
何でも、戦った異能者は皆、 その異能のあまりの強大さに絶望し、 自ら命を
Mori Ougai ……建物倒壊の時に行方不明になった 太宰君が、何か残した情報は?
Hirotsu Ryuurou 行方不明になる前に太宰殿が残した 手掛かりはないか、三度調べました。 ですが新しい情報は何も…
Hirotsu Ryuurou
何か新しい手掛かりを見つけたのか、 新品の顕微鏡を
Nakahara Chuuya 何?顕微鏡だと?
Nakahara Chuuya そいつは何処にある!
Hirotsu Ryuurou 太宰殿の部屋に……
Nakahara Chuuya あのくそったれ!案内しろ!
Hirotsu Ryuurou これですが……
Nakahara Chuuya 貸せ!
Hirotsu Ryuurou な……何も壊さずとも
Nakahara Chuuya こいつを見ろ。中に隠されてた
Hirotsu Ryuurou これは……!
Nakahara Chuuya
Nakahara Chuuya
あの野郎は行方不明なんじゃねえ。 敵の攻撃を読んで、わざと
Nakahara Chuuya この発信器が示す先に、 太宰と『白麒麟』がいる
Hirotsu Ryuurou 何と……
Nakahara Chuuya
俺だけが気付くよう顕微鏡に仕込んだのは、 俺があの最低野郎を救出に行かざるを
Nakahara Chuuya クソ!相変わらず最悪の嫌がらせだ!
Hirotsu Ryuurou どちらへ?
Nakahara Chuuya バイクで出る
Hirotsu Ryuurou
ですが……『白麒麟』は、
Nakahara Chuuya いいや。『あれ』を使う
Hirotsu Ryuurou まさか……あれを!?
Nakahara Chuuya 待ってやがれ……クソ太宰!
<劇場版 DEAD APPLE>へつづく